PROFILE
| 国籍・地域 | エジプト |
|---|---|
| 性別 | 男性 |
| 大学 | カイロ大学 |
| 学部 | 日本語 |
| 内定先企業 | 190以上の支店を展開する、日本有数の地方銀行 |
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日本の銀行で働き始めて数か月。日本での仕事と暮らし
日本で暮らし、働き始めてから数か月がたちました。現在は、日本でも有数の規模を誇る地方の銀行で研修を受けながら働いています。
今回は、日本の銀行で働くために、日本へ渡ってからどのような日々を送っているのかをお話ししたいと思います。
日本では、誰もが仕事に真剣に向き合っていることを実感します。
日本で何らかのサービスを利用すると、ほとんどの場合、満足のいく対応を受けることができます。私が働く銀行でも、その姿勢は変わりません。同僚と仕事を分担するときも安心して任せることができます。私自身も常に責任を持って仕事をやり遂げようという気持ちになります。
外国人・文系出身者として日本の銀行で受ける研修
職場のすぐ近くには、私がよく訪れるお気に入りの公園があります。日本に来て5日目に見つけた場所で、心が落ち着くので私にとって大切な場所になっています。
職場の信頼できる雰囲気は、研修にも表れています。上司や指導担当者は忙しいなかでも時間を割いて私たちに仕事を教えてくれます。基礎をしっかり理解できているか、必要な知識が身についているかを、いつも丁寧に確認してくれます。
研修期間中、私が主に担当しているのは社内向けの業務です。それは、外部のお客様を相手にする業務でミスをしてしまうと、取り返しのつかない事態になる可能性があるからだと思います。
金融業界での経験がない上に、外国人である私を採用してくれたこの銀行は、適切な研修を受けられるよう、多くの時間と労力を私たちにかけてくれています。
入社1年目の現在、私と同じくASIA to JAPANのインターンシップを経験した外国人の友人は、できるだけ多くの資格を取得することに力を入れています。それは、さまざまな業務を正式に担当できるようになるためです。
また、会社全体を理解できるよう、部署を頻繁に異動しながら研修を受けています。
会社は非常に大きく、一人ですべての業務や状況を把握することはできません。それでも、さまざまな部署を経験することで会社全体や同僚、自分自身の役割について理解を深めることができます。そして、会社やチームにどのように貢献できるのか、より広い視点から考えられるようになります。
研修にて、外国人・文系出身者としての苦労
もちろん、手厚い研修を受けられることや、上司が支えてくれることには心から感謝しています。しかし、正直に言うと、私にとって研修は非常に大変です。
私は日本語能力試験(JLPT)N1に合格してから日本に来ました。それでも、日本の銀行業務に関する複雑な専門用語や知識を学び、さらに、その知識を確認するための資格試験を次々に受けることは、想像以上に大きな挑戦でした。
幸いなことに、会社は試験にかかる費用だけでなく、試験を受けるための時間も業務時間内で確保してくれています。
私が働く銀行に応募した日本人のなかには、金融分野のバックグラウンドがあり、すでに必要な資格を取得している人もいます。そのため、そうした人たちは正式な研修期間が短く設定されています。そのため、私と友人は周囲に追いつくために必死に努力しています。
あるとき、指導担当者から「この試験はとても難しい試験なので、最初から合格するとは思っていませんでした」と言われました。それほど難しい試験だったのです。それでも、私は無事に合格することができました!
初回の試験に落ちてしまった同僚も知っています。その人たちはITエンジニアとして採用されたため、日本語力が私たちより低いという事情もありました。それでも、会社は柔軟に対応し、会社負担で再受験できる環境を整備してくれていました。
合格しなければならないというプレッシャーは、もちろんあります。それでも、会社が一人ひとりの実力や状況を踏まえて期待値を調整し、現実的な対応をしてくれることにとても感謝しています。
ある日、上司から「最近どう?」と聞かれたとき、私は思わず、何か月も働いているのに、まだ分からないことだらけであることを吐き出してしまいました。
すると、上司はこう言ったのです。
「大丈夫だよ。私だって、自分が何をしているのか分からないことがあるから」
もちろん、その上司は決して仕事ができない人ではありません。むしろ、私よりはるかに経験を積んでいる人です。それでも、日本の金融業界について学び続けるという点では、私と同じ道の途中にいるのだと感じました。
その言葉を聞いて、ずいぶん気持ちが楽になりました。上司自身も、社内で経験を積んできたからこそ、私の不安や苦労を理解してくれるのかもしれません。
日本の銀行でワークライフバランスを実現するには
同僚のことを深く理解し、経験を通してお互いを尊重する姿勢は、ワークライフバランスを支える仕組みにもつながっていると感じます。
日本に来る前、私は日本の会社員は長時間労働をしているというイメージを持っていました。しかし、実際に日本の銀行で働き、エジプトにいる友人たちから労働環境についての大変な話を聞くようになって、日本の働き方を以前とは違った視点で見るようになりました。
残業は、どの国や業界でも起こり得ます。しかし、長時間労働が起きることや従業員を守る仕組みが整っているかどうかは、国や企業によって異なります。
十分な賃金が支払われないまま、長時間働いているエジプトで働く友人の話を聞くことがあります。
その点、日本には労働者を守る法律があり、それが企業の具体的な制度や運用にも反映されています。私が働く銀行にも、従業員の労働環境を守るための仕組みがあります。
例えば、次のようなものです。
- 残業するには、上司の許可が必要です。翌日に仕事を回すことができない理由を説明しなければなりません。
- 労働時間には上限が設けられています。
- 週末は自分の時間として過ごすことができます。
- 労働者を過重労働から守る法律があり、人事部も従業員をしっかりサポートしようとしています。
- 勤務時間などを記録する仕組みが整っているため、残業代は適切に支払われます。
- 入社してから6か月目までは、新入社員は残業を認められていません。
また、会社は業務量の変化を見越して、仕事が滞りなく進むように体制を整えています。
月末が近づき、締め切りの関係で業務量が増える時期には、会社もその状況を想定しています。多くの社員がいつもより早く出勤し、退勤時間も少し遅くなりますが、それでも休息の時間を確保できるようにしています。また、この時期は残業の許可も得やすくなります。
ただし、こうした忙しさが毎日の当たり前というわけではありません。
大企業で働くことがワークライフバランスにつながる理由
これはあくまで私自身の経験に基づく考えですが、同僚の様子や友人たちの話を聞いていても、ワークライフバランスの問題は、日本全体の問題というより、企業ごとの違いが大きいと感じています。
一般的に、大企業のほうがワークライフバランスを実現しやすいように思います。なぜなら、会社が成長するなかで、従業員が無理なく働き続けられる体制を整えてきているからです。
私の勤務先は十分な人数がいるため、特定の人に仕事が偏りすぎないように分担することができます。こうした経験から、規模の大きな企業のほうが、従業員それぞれの仕事のペースに合わせて柔軟に対応しやすいのではないかと考えています。
一方、小規模な企業では、利益や人員に余裕がないため、一人ひとりが背負う責任が大きくなる傾向があるように思います。
もしワークライフバランスを重視して仕事を探しているなら、大企業を選ぶことは一つの方法かもしれません。
ただし、大企業で働いていると、会社全体を見たときに、自分が貢献できていることが少ないように感じ、もどかしくなることもあります。
より大きな責任を担い、自分の仕事が会社に与える影響を実感したい人や、スピード感のある環境で急速に成長したい人にとっては、仕事量が多くなりやすい中小企業やスタートアップのほうが合っている場合もあるでしょう。
エジプト出身の私が、日本での暮らしに慣れるまで支えてくれた人々
私にとって初めての一人暮らし、仕事以外の生活にもさまざまな課題がありました。
エジプトでは、結婚を機に実家を出ることが一般的です。そのため、日本で暮らし始めたことは、私にとって初めての一人暮らしとなりました。
最初は、料理の仕方さえよく分かりませんでした。幸い、母は生活リズムが少し不規則なので、困ったときに電話をすると、喜んで相談に乗ってくれました。
正直に言うと、日本の食事は私の口にあまり合いません。魚介類にもまだ慣れていませんし、食べ物には自分なりの好みもあります。そんな事情もあり、自分で料理をする技術を身に着ける必要がありました。
自分の居場所となるコミュニティを見つけることは重要です。
家族とはとても仲がよいので、離れて暮らしていると寂しくなることもあります。
外国で暮らすということは、家族と離れるだけでなく、慣れ親しんだ文化からも離れるということです。もちろん、私は日本の文化が大好きですが、それでも自分がエジプト人であることに変わりはありません。
幸い、日本には私と同じように海外から来て働いている人がたくさんいます。さまざまな国の友人ができ、私の気持ちを理解してくれる仲間に出会うことができました。
私は自転車に乗るのが大好きです。エジプトでは自転車に乗るのはとても危険なので、日本で自転車を購入できたときは本当にうれしかったです。時には、友人と一緒にただ楽しむためだけに23キロも走りました。
タイ出身で、私と同じくASIA to JAPANのインターンシップを経験した友人と、同じスケジュールで研修を受けられたことは、とても幸運だと思っています。私たちは一緒に多くの経験をしてきました。
一緒にサイクリングを楽しんでくれる友人もいますし、エジプト出身の友人が浴衣を手縫いで作ってくれたこともあります。ゴールデンウィークに横浜を訪れた際には、友人の家に泊めてもらいました。その友人も、FAST OFFER Internationalを通じて日本での就職を実現した一人です。
日本人の友人もできました。文化の違いを越えて、私と仲良くなってくれた人たちです。あるときは、日本人の友人の家族と一緒に映画を観ることもできました。
外国で暮らしていると、孤独を感じることもあります。それでも、こうして温かく迎えてくれる人たちと出会えたことで、日本での生活を一緒に楽しめる、大切なつながりが生まれました。
日本の祭りを楽しみたい!
日本では、七夕をはじめとする美しく意味のある祭りが、季節の移り変わりや時の流れを感じさせてくれます。私は、さまざまな日本の祭りを体験することが楽しみです。
日本の職場文化の厳しさを経験し、日本で支え合える仲間にも出会った今、私はここまで努力してきた価値があったと心から感じています。
もちろん、簡単なことばかりではありませんでした。それでも、ほかでは得られない経験を得ることができましたし、後悔はありません。
これまで努力してきて本当によかったと思います。そして、周囲の人々や、働く人を支える仕組みがあるおかげで、これからも自分の夢に向かって歩み続けられると感じています。
日本の銀行で働き始め、日本で外国人として生活するようになってから数か月。今では、日本で働くために重ねてきた努力が十分に価値のあるものだったと自信を持って言えます。
日本で暮らすことには多くの魅力があり、これからの明るい未来には大きな可能性があります。もちろん、困難もありますが、それを上回る価値があるとこれからも私は信じています。